[うたた寝で過ごす]
◎我が家に犬(メス･10才)と猫(メス･3才)が一匹ずつ暮らしている。彼らも含めて動物は一般に大人になれば、空白(無)の時間をうたた寝で過ごす。とはいえ、アリが昼寝をするという話は聞かないが。
[犬猫の昼寝をどう思われますか?]
◎あなたは犬猫の昼寝をどう思われますか?。うらやましいですか?、それもと何もすることがなくてかわいそうだと思われますか?。人間は空白(無)の時間を何かで埋めてゆかねばならない。これは、ある意味、強烈に苦しくもある。
[退屈は大苦痛]
◎忙しい後の少しの休憩時間は、とてもありがたい。しかし、何日も何もすることがないのは有り難いといえず、苦痛ですらある。人間は退屈を大苦痛と思う動物なのである。
[空白時間を埋める]
◎私達は、そのような空白(無)の時間をさまざまな方法で埋めてゆこうとする。私はコーヒーを飲む。一日家に居るときには、7〜8杯は飲む。パソコンに向かっていて、疲れや集中切れを感じたとき、居間に行ってコーヒーを入れる。それが数日続くと、胃が荒れて、歯磨き中に吐き気が襲う。
[埋め方は人さまざま]
◎空白(無)の埋め方は人さまざまである。ある人はたばこを吸う。ある人はパチンコ店へ向かう。ある人はメールを打つ。ある人はケータイでおしゃべりする、"今何してんの?"。ある人はゲームのスイッチを入れる。
[依存症]
◎それらがひどくなれば、心理学的には、"依存症"という病名がつく。パチンコやアルコールへの依存症であれば、家庭崩壊にもつながりかねない。主婦の中には、買い物依存症で、借金をふくらませる事態にもなりえる。
[心の空白は激しい]
◎今、例にあげたのは時間的空白であるが、心の中の空白は、もっともっと激しく私たちを襲う。
[過去の思い出が洪水のように]
◎失恋をしたことのある人ならば、そのぽっかり空いた穴を埋めるのがどれだけ苦しいかご存じだろう。少しでも時間的空白があくと、そこに過去の思い出が洪水のように溢れてくる。それを思い出すたびに、涙がぼたぼたと、ほとばしり出てくる。
[心の虚ろは激痛]
◎失恋でなくても、病気や事故で親や子どもを失うと、心の虚ろは、拷問の如く激痛、激苦の連続である。主婦に襲いかかる、"空の巣症候群"、"キッチンドリンカー"などは、夫や子どもの、自分からの離反に耐えきれず、心に巣くう病である。
[寂しさ、孤独感が駆り立てる]
◎夜中の繁華街をさまよう、若者(若者だけとは限らないが)、少年少女。たぶん、心の空白(ぽっかり口を開けた巨大な寂しさ、孤独感)が彼らをそこへと駆り立てるのだろう。人恋しさがなせる技である。
[あなたとキャッチボールがしてみたい]
◎私たちはやはり心通わせるキャッチボールがしたいのだ。テレビドラマ、"結婚できない男"で、好きな相手に、投げかけた、30才女性の愛の告白である、あなたとキャッチボールがしてみたい、と。
[世間話を語らいたい]
◎いつも毎日とは言わないが、週に一回ぐらいは、夕食後のひとときを飲み物とお菓子を囲んで、テレビを消して世間話を語らいたいものである。親子で、夫婦で、時にはきょうだいで。深い深い、暗い暗い、溝が少しずつ埋まっていくのが感じられるだろう。
[子どもの心の空白に気づかぬ親]
◎しかし、子どもの心の空白に気づかぬ親も多い、いや、余りにも多い。気づかぬのではなく、気づけないのだろう。子どもの心の空白に心を向ける余裕がなくて。親自身が自分の心にぽっかり空いた空白を抱えて。日々その空白が親をせき立てるのだ、心の空腹を訴えて。
[空腹が人を走らせる]
◎それがパチンコ屋へと走らせ、お酒に手を伸ばさせ、服を着替えてクレジットカードを何枚も抱えてデパートへと足を向けさせる。子ども達には必死にケータイに向けて親指運動をさせる。
[空白の悪魔にじっと耐えよ]
◎親であれば、できれば、自分の空白(心の空腹)を満たしたいという衝動に負けずに、ゆとりを持って受け入れられることを願っています。襲い来る、空白の悪魔に、じっと堪えていると、やがて悪魔の姿はうっすらとかすんできます。
[炎の揺らめきを楽しむ]
◎でも、淋しい一人の夜は涙が出ますよね。そんな時は、ローソクに火を灯して、炎の揺らめきを楽しみましょう。きっとあなたにも楽しい昼がやってきますよ。一人を楽しむ工夫をしてみれば如何だろう。
[一輪の花をそっと前に]
◎淋しそうな人を見たら、一輪の花をそっと前に置いてあげましょう。この名もない花は一輪でも輝いていますよと。
[親のない雀]
◎挫折が陰影のある優しさをもたらす。
