真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

「ハウルの動く城」から私が読み解いたものは

[ハウルの動く城]
◎テレビ上映で、スタジオジブリ制作、宮崎駿監督の「ハウルの動く城」(fromWikipedia)を見た。
[一度目は筋も意味も分からず]
◎今回で二度目なのだが、一度目はほとんど筋も意味も分からなかった。私の経験では、意味の分からない内容はほとんど記憶の中に収まらない。つまり、覚えている部分が理解できている部分だ。
[反芻しながら味わう作品]
◎この映画は内容がとても深いので、見終わった後で、牛がするように、ゆっくりじっくり思い返し(反芻し)ながら味わう作品だ。
[あるシーンによって氷解]
◎今回も内容が理解できないまま見ていたが、あるシーンによってそれが氷解した。あたかも不意に洞窟から抜け出たように。そうすると、あらゆる謎が溶け始めた、日に照らされた氷がするように。
[炎とハウルの関係が明かされた]
◎謎のままだった内容が、突如すべて了解できるシーンとは、主人公(18歳娘ソフィー)がハウル(青年)の過去へと入り込んで、炎とハウルの関係が明かされた場面だった。
[ハウルの心・魂・エネルギー]
◎炎「カルシファー」はハウルの心・魂・エネルギーであった。その炎を彼は心の中から外へと取り出した。つまり、彼のコントロール外へ出てしまったのだ。それは彼が孤独に打ちのめされてしまったからだと私には思えた。
[思春期のさ迷える青年]
◎これによって、この映画は思春期のさ迷える青年と、それを救い出す少女の物語だと知れた。ハウルの動く(ガラクタ[彼が過去の思い出の中に住んでいることを暗示]の集積のような)城は、彼の揺れ動く心の姿そのものを表していたのだ。
[赤ん坊のおもちゃ]
◎また、彼の寝室は赤ん坊のおもちゃで固められている。これは「千と千尋の神隠し」(fromWikipedia)の湯婆婆の子、「坊」(赤い腹掛けをした巨大な赤ちゃん)を思い出す。
[老婆の持つ知恵と忍耐力と献身的な愛]
◎少女が(少年期に受けたトラウマを抱えた)青年(の炎)を救い出すためには、老婆の持つ知恵と忍耐力と献身的な愛とで接しなければならなかった。
[老婆と少女との間を揺れ動く]
◎少女自身も老婆と少女との間を揺れ動いた。しかし、ハウルの凍ったままの心を救出するためには、老婆である必要があった。少女では、あの巨大なエネルギーを制御しきれないだろう。彼女にできたのは、彼の散らかった過去を整理(家の中を片付け)することであった。
[炎を元通りの心の中に収めた]
◎事実、彼女がハウルの炎を元通りの心の中に収め得たのは、炎が消えかけで、彼の嵐が収まりかけていた時期である。そこから彼の再建が始まった。
[四つの異なった世界]
ハウルの家が、入り口が四つの異なった世界への扉、つまり、荒地(緑)、港町(青)、キングズベリー(赤)、戦場(黒)の4ヶ所への出口になっている。
[定まらぬ方向性]
◎このことが、彼の定まらぬ方向性を表す。思春期の心の揺れを描き出す。彼が主に過ごすべき居場所が定まらない象徴であろう。彼は自分には制御しかねる大きな心・魂・エネルギーに翻弄されている。
[幼い心に映る社会活動=戦争]
◎戦争と見えたのは、社会活動である。彼には当然果たすべき社会活動は恐ろしい戦争と映るのだ。これは彼の心の幼さの表れであろう。
[全身全霊でカウンセリング]
◎少女のハウルへの献身を見ていると、あたかも彼女が彼を全身全霊でカウンセリングしているかの如き働きぶりである。トラウマを持った青年を社会的に自律させるには、どれほどのエネルギーを彼に注がねばならないかを表しているようだ。
[翻弄されている若者]
◎今、日本にも、ハウルと同じように、少年期に受けたトラウマを抱えて、それに翻弄されている若者がたくさんいそうに思える。
[トラウマに翻弄された結果]
◎事実、私には、社会へ大きな衝撃を与える事件を引き起こしている若者たちの多くが、ハウルのように、受けたトラウマに翻弄された結果ではないかと思える。
[若者への接し方を考える時代]
◎そういう意味でも、もっともっと多くの社会人に見てもらって、社会の中に抱えている、そのような若者への接し方を考える時代に入っているのではないかと考える。
[ロマンティックなラブストーリー?]
Wikipediaでは、「ソフィーを主体としたロマンティックなラブストーリー」と見ているが、私には、心理学的には違うんではないかと思えてならない。
[干渉的な監視をする母親]
◎「荒地の魔女」はハウルへ干渉的な監視をする母親の一面を表している。ハウルは過干渉な母親に甘やかされて、大人になれず、かといって、心・魂・エネルギーは自律を欲している。そのはざまで彼は揺れ動く。
[自律し得ない青年ハウル]
◎過干渉な母親から自律し得ない青年ハウルが、少女の献身的な愛によって、目的(少女との恋)を見出し、母親から無事独立を果たす物語だと、私は読んだ。
[シンデレラや白雪姫]
◎それと、西洋に一貫して流れる、シンデレラや白雪姫に通じるような、少女による艱難辛苦の通過による「幸せつかみ」の過程をも並行的に表す、とも思える。