真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

人間は、三層構造になっている

私は、このブログで、前々回(2014/12/11)に、"人間には、2つの意識層がある"、という記事を書いた。
今日は、「人間は、三層構造になっている」という話をしたい。ところで、三層構造といえば、ポールマクリーンの脳の三層構造説が有名である。
人間の脳は、爬虫類脳、旧哺乳類脳、新哺乳類脳の三つから構成されている、と彼は言った。
といっても、ここで彼の説を紹介したいわけではない。私の言う、三層構造とは、1)肉体、2)知性、3)精神のことである。
1)肉体は、爬虫類脳(脳幹)で制御されているといえる。2)知性は、旧哺乳類脳、新哺乳類脳に由来する。3)精神は、それらを超えた部分(私はそれを「魂」と呼びたいのであるが)である。
1)肉体と2)知性の中間帯には、感情がある。肉体に近い感情は情動であり、知性に近い感情は情緒である。
2)知性と3)精神の中間帯には、理性がある。2)知性には詐欺を働く悪知恵も含まれるが、理性は、自分を離れた、より高みからの判断機能である。
私の考えでは、1)肉体、⇨感情、⇨2)知性、⇨理性、⇨3)精神である。
注1)「精神」とは、「心が主観的・情緒的で個人の内面にとどまるのに対し、精神は知性や理念に支えられる高次の心の働きで、個人を超える意味をはらみ、民族精神、時代精神などと普遍化される」引用from"世界大百科事典 第2版"。
注2)理性あたりから個人を超えるが、私の言う「精神」とは、完全に個人を超えて普遍化された部分のみを示す。知性も実際には個人を超えるが、自我が使うので、個人を超えないことも多い。個人的な目的で使うことが多い。
別の角度から言えば、1)肉体は、遺伝子(情報)から生み出されてくる。故に、人類が生まれる前から規定されている。すべての生物の過去からの積み上げである。
注)極めて大雑把に言えば、人類は、すべての生物の系統発生(形態的歴史)を背負っている。
2)知性は、生まれてから後に獲得される、経験から構成されている。未来に向けて何を獲得するかは、個々の人間の自由に任されている。
注)現代人は、人類すべての知的系統発生(人類の全歴史)を背負っている。
3)精神は、理念(具体的には、愛、勇気、正義などなど)から生み出される、理念を貫く意志である。動物には持ち得ない資質である。
注)「理念」とは、「こうあるべきだという根本の考え」、「純粋に理性によって立てられる超経験的な最高の理想的概念」。
更に別の角度から比喩(コンピュータ)的に言えば、1)肉体は、ハードウェアである。2)知性は、ソフトウェアである。3)精神は、それらの操作者である。
注)包丁は、操作者によって、殺人の道具にも使われるが、至福のひとときを与える料理をつくる道具にも使われる。
誕生してから最初の間、人間を支配するのは、肉体である。爬虫類脳に組み込まれている生得的情報が肉体を動かす。肉体が動くことによって、旧哺乳類脳、新哺乳類脳に知性(経験)が蓄積されてゆく。
しかし、そのことによって、第一反抗期の頃には、2)知性が、時には主役の座を奪いにくる。そして、徐々に、大部分の時間は、2)知性が主導的位置に立つようになる。
そのようにして、小学校中学年頃からは、安定的に2)知性が主役を維持する。
しかし、その安定を揺さぶる、第二反抗期である、思春期には、3)精神が割り込んでくる。厚く身を覆った知性の殻を破ろうと、3)精神がうごめく。
そして、世間的な知性にまみれた大人は汚いと、批判する。それに対して、辛酸を嘗めた大人からは、屁理屈を言う、生意気を言うなと、たしなめられる。
社会の中に埋もれて生きざるを得ない、ほとんどの者は、私も含めて、3)精神がすごすごと退場する。そして、再び、2)知性が幅を利かす。2)知性が安定した地位を築く。
社会の中で、3)精神に従って生きていくのは至難の業である。
そして、ほとんどの大人は、青臭い3)精神を、理想主義、観念主義と、あの頃は若かったなあと、自分の傷を舐めるように、自分を慰めるようにして言う。
ただ、能力が高く、意志が強く、志が高い者のみは、3)精神が主役の位置に居続けて生きて行ける。3)精神は、超贅沢品なのである。とはいっても、彼らが、社会的、世間的な成功者とは限らないが。
私が、愛視聴する、テレビドラマの「相棒」の「杉下右京」は、正義(法律に照らして正邪を判断する)を貫く3)精神を持ち続けている。
さらに、同じく、私が、愛視聴する、テレビドラマの「科捜研の女」の「榊マリコ」は、科学を根拠に判断する姿勢を貫く3)精神の持ち主である。
二人共に、組織の中にあるが、その組織に埋没することなく、自分の3)精神を貫く。自らの3)精神から発せられる声に忠実であろうと動く。
だが、彼らとて、その動きによって結果を出せなければ、容赦なく、組織から蹴り出されるだろう。
テレビドラマで、人気を博するのは、そのような自らの3)精神から発せられる声に忠実であろう、と動く主人公への共感であろう。
注)「米倉涼子」が演じた「ドクターX 外科医・大門未知子」(今年の連続ドラマで視聴率トップに立った)も、自らの3)精神から発せられる声に忠実であろうとした主人公だろう。
日本の政治家にも持っていてほしい3)精神であるが、残念ながら、ほとんどの政治家に完璧に欠ける資質でもある。志を持っていても、いずれは組織に埋没してしまう。
しかし、かつては持っていたのに、3)精神の炎が燃え尽きてしまった政治家として、小泉純一郎氏、石原慎太郎氏、小沢一郎氏がいる。彼らも一時は、3)精神の炎が燃えていたのに。
車のエンジンを動かすにはガソリンが必要なように、3)精神の炎には、常に、たぎるような情熱という火種が必要である。もはや三氏から、そのような情熱が全く感じられなかった。
私は、そのような、たぎるような情熱で、3)精神の炎を維持した人物として、ipodiphoneipadを世に送り出した、スティーブ・ジョブズWindowsを世界に普及させた、ビル・ゲイツ、新しい日本の将来像を描いた坂本龍馬、日本をまとめあげた、織田信長を思い浮かべる。
彼らには、他を、周りを圧倒させるほどの精神力(理念を貫く意志力)をみなぎらせていたに違いないと思える。彼らは、また、マズローのいう、自己実現段階にある人々でもあっただろう。