真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

文化文明の進化論的な栄枯盛衰(5)

4)科学技術中心の文化文明:西洋主体:科学知識に従って世界を解釈する

栄盛=それでも地球は動く(byガリレオ・ガリレイin17世紀):これが、世界解釈の手段の転換を象徴する言葉である。
2世紀に、プトレマイオス(古代ローマ天文学者、数学者、地理学者、占星術師)によって体系化された天動説は、カトリック教会公認の世界観であった。
しかし、宇宙を観察した事実を積み重ねていくと、天動説とは矛盾するデータが蓄積されてきた。そのことによって、聖書(宗教)や宗教が公認する解釈よりも、科学的知識の方を信じる人々が多くなった。
確かな証拠をもって証明するという実証を重んじる科学的知識は、宗教を超えた、更に普遍性を備えた、高めた世界解釈書となった。
宗教教義では、民族により、信仰者・宗教者によって異なるが、科学的知識は、世界共通教義とも言える。
科学技術中心の文化文明の枯衰を前兆する暗示するような出来事として、9.11、3.11が起こった。
特に、3.11は、世界的に、特に、科学技術の力によって達成した先進諸国においては、科学技術万能主義・科学技術信仰の崩壊(科学技術だけで世界を構築することへの不安)を加速させた。
9.11によって、先進諸国の優位性、先進諸国はすばらしいとの確信が大きく揺らいだ。また、科学技術は人々を幸せにするだけではないことを思い知らされた。私は、世界貿易センタービルの崩壊から、バベルの塔の崩壊を思い浮かべてしまった。
3.11によって、人間の自然への優位性と、科学技術への信頼、科学者技術者を無批判的に信頼することへの確信が根本から揺らいだ。
日経新聞の5月27日掲載の世論調査。「政府や電力会社が行う原発の安全対策」について
・「信頼できる」3.3%・「どちらかというと信頼できる」21.6%・「どちらかというと信頼できない」36.7%・「信頼できない」35.7%
実際には、科学技術自体が悪いのではない、科学技術は善悪の彼岸にある。逆から言えば、科学者が安全などという評価的言葉は使うべきではないと思う。
それを社会生活に利用する、応用する人々のほうが、信頼をなくすような、行動をとってきたことが、科学技術への信頼失墜の原因である。日本でも、原子力事故により、科学者の発言が金科玉条のようには信用されなくなってきている。
とはいえ、発展途上国には、科学技術は、今なお物質的豊かさをもたらす重要な手段であることには変わりがない。温度差は大きいのである。
5)ネット(通信)中心の文化文明:キーワードは、『集合知』。集合知によって世界を解釈する。
中心的情報が、宗教教義⇒科学知識⇒集合知へと変遷してきた。
一部の人々(宗教者、科学者)によってのみ与えられた、宗教教義や科学知識とは異なり、集合知は、すべての人々が生み出すことができる。
そういう意味では、一般人には、今まで与えられるだけであった教義(生活指針)を、発信する側にも回ったということが言える。
ということで、集合知は、初めて、すべての人々(全世界)が、受発信する、世界解釈書だとも言える。
Googleは、グローバルに(より広い環境に、より普遍性を持って)、知・情報を提供することによって、集合知の大きな担い手となっている。Googleは、まさしく、登場すべき時に登場した。時代精神(ある時代に支配的な知的・政治的・社会的動向を表す全体的な精神傾向)を受けた存在である。
つまり、これらを考えると、日本とか中国とかの国単位が、もはや意味をなさなくなる、前兆でもある。
楽天は、英語を社内共通語とすると宣言した。ユニクロに至っては、世界同一賃金にすると発表した。
これによって、ベルリンの壁が壊されたように、国の壁が壊されて、当たり前のこととして、人材採用と、人事異動が、世界規模へと拡大する。人、もの、金の動きが、グローバル化する。
気になるのが、国単位で課税されている税金がどうなるかということである。私は、アマゾンを利用しているが、アマゾンに支払った消費税は、どうなっているのだろうか。
今後、税金や社会保障や法律などなどが、義務と権利の問題が、大きく浮上してくるだろう。となれば、国連への期待が今後大きく高まるのではないだろうか。
今、日本でTPPの参加が問題になっているが、これも国際化の流れの一環である。TPP不参加は、孤立化、村八分化でもある。TPP不参加は、鎖国化への道ともなる。
世界経済を引っ張ると自負する中国も、このままではお山の大将俺一人ではいられないと気がついて、その流れの中に入らねばという焦りが垣間見えている。
このようなグローバル化と、知や情報のネット化の基礎を構築したのが、コンピュータソフトのマイクロソフト(特に、基本ソフトであるWindows)である。
もちろん、グローバル化の流れを作った陰の功労者は航空機でもあるが。さらに、航空機会社のLCC(格安航空会社)化、すなわち、飛行機のコモディティ化(タクシー化)の流れもここから来るのだろう。
全世界を股にかける商社アマゾンや、情報と情報基盤を提供するグーグルは、国境を破壊する、崩壊させる、破壊者であり、かつまた、創造者である。
アマゾンやグーグルは、単なる破壊者ではなく、新しくより便利なものを提供する(創造者である)ことによって、古いものを駆逐するという手法をとっている。
今の時代に要求される能力は、世界中から流れこんでくる情報の混沌の海から、つまり、地に沈んだ図を読み取って統合するコーディネート能力である。どんな情報が図であるかは、個々人によって、国によって、企業によって、集団によって異なる。
今後ますます、人事面で最有力視される能力が、このコーディネート能力、さまざまな要素を一つの形にまとめる能力、である。
集合知というアゴラ(古代ギリシアの国家における民会の開催場所)を形成する者・組織(例えば、ヤフー、TwitterFacebook、少し違うがアマゾン、規模が小さいが、日本では、楽天cookpadなど)が、今後ますます主役の座につき、さらなる王座を狙う存在となる。
一時、Web2.0という言葉が盛んに用いられた。ネット世界(Web世界)の進化は、Web 1.0は「見る」だけの世界。Web 2.0は「使う」世界。
Web 3.0は「作る、自由に加工する」世界、共有化されたデータベースを駆使して自分世界を実現できるインタラクティブ(Interactive:双方向的)な世界。
これによって、グローバリゼーション(普遍化)とパーソナライゼーション(個人化)とが、同時並行に進行している。一人がすべてのために、全てが一人のために。"One for All, All for One”
基盤としてはグローバル(普遍)であらねばならないが、末端的には、個別化の要求に沿わねばならない。日本は、今の家電業界が端的に示すように、グローバリゼーション(普遍化)の面でも、パーソナライゼーション(個人化)の面でも遅れを取っている。未だに技術技術で売ろうとする。
ネット(通信)中心の文化文明の栄盛は、当然だが、インターネットの発展によってもたらされた。営利目的のインターネットサービスプロバイダが、1980年代末から1990年代に出現した。
1995年にWindows95が発売される。これが、ネットを一般社会に普及させた最大の功績者である。私もこれを買うことによって、ネットに取り込まれてしまった。