真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

クロ現が「土下座」を取り上げた

クロ現(クローズアップ現代:NHK)が「土下座」を取り上げた。氾濫する“土下座” - NHK クローズアップ現代
そこから引用。
「2000年以降、謝罪会見などで経営者の土下座が見られるようになったのは、日本人が心のゆとりを失って不寛容になり、相手を土下座させるまで追い込む風潮が広がっているからだと分析する」
土下座といえば、誰しも、「半澤直樹」を思い浮かべるだろう。しかし、私達は、今まで、選挙で、立候補者が最後のお願いとして、土下座をする風景を何回も見てきた。
また、馬鹿な悪質ないたずらをしてその現場写真を、ツイッターなどで、投稿するという出来事が続いた。そのような悪乗りが流行りになってしまった感がある。
まさに、その両方を取り入れたような事件がついに起きてしまった。しまむらで土下座強要、写真をツイッターに投稿した女逮捕- SANSPO.COM(サンスポ)という記事が大きく報道された。
クロ現は、その背景に「心のゆとりを失って不寛容になり、相手を土下座させるまで追い込む風潮」があると指摘する。
それはそうかもしれないが、さらにその背景には、「日本の社会では、個人の上下関係が社会における主要な関係になってい」るという事実がある。「このような社会を縦社会」という。
参考)書評〜中根千枝『タテ社会の人間関係─単一社会の理論』
人間関係の全ての場面で、上下の位置関係を持ち込む縦社会が、この民主主義の日本でも、まだまだ深く浸透している。職場でも上下意識が強い。
その基本態度が頭を下げることである。下の者が上の者に頭を下げることで、敬意や上下関係を明示する。それに対して、欧米では、対等関係へと持ち込もうとする。
参考)「順位が高いものに対しては尻を向け、上位者がその後ろから乗りかかる「マウンティング」という行動があり、これによって順位が確かめられると同時に、争いが回避される」。引用fromニホンザル - Wikipedia
ここで、罪悪感とは、「悪いこと、非難されるべきことをおかしたという気持ち」であるが、縦社会では、上である者に、頭を下げられると、下の者は、立場を逆転させてしまったと、自然と罪悪感(まずいことになった!!)が芽生えてくる。特に、縦社会にどっぷりと漬かっている者にとっては。
ということで、心からの謝罪としての土下座ではなく、相手に罪悪感を呼び覚ますためにする、単なるパーフォーマンスの可能性もあるが。
強い自尊心を持つ者にとって、最大級に頭を下げる土下座はほんとうに辛い屈辱ではあり表明である。半澤直樹では、そのような意味を土下座で表現させている。
だが、不寛容で相手をどこまでも追い込む謝罪の要求に対しては、「目には目を、歯には歯を」と、同等の謝罪で対応すべきである。しかし、日本では、どこまでも、限度なしに、要求するモンスター何々がずいぶんと話題となった。
困ったことに、不手際に対して、限度なしに謝罪賠償対応するという風潮が蔓延している。例えば、「冷蔵庫に入って撮影した写真をTwitterに公開したことで」店を営業再開せずに閉店した店のあまりの過剰対応。
注)“店員が冷蔵庫に入った写真”で閉店に ステーキ店のブロンコビリー「営業再開許されない」 - ITmedia ニュース
私には、店員が冷蔵庫に入って、完全閉店するという意識が余りにも度を超えた対応だとしか感じない。立派とか潔いという褒める気にはサラサラならない。
追記)このような対応には、ネット上でしばしば起きる祭りへの恐怖があるのかもしれない。チェーン店ならば、火の粉がその店だけで収めようとの過剰対応かも。
追記)逆に、不正や祭り炎上などで、悪評が飛び交い、評判が落ちて、倒産に追い込まれる事態も散見される。そのようなネットの怖さ、不気味さが背景にあるのかも。
日本では、お客様は神様だという言葉がひとり歩きして、どこまでも、相手の要求に従って、対応すべきだという意識がある。
参考)三波春夫 - Wikipedia
もうこのへんで、「お客様は神様」と持ち上げずに、「目には目を、歯には歯を」と、同等の謝罪で止めておくべきだと思う。
追記)企業だけではなく、中小の店であっても、突発的危機への管理の対応をマニュアル化すべきなのかもしれない。大火になる前の初期消火という意味でも。
特に、グローバル化時代には、相手を持ち上げて、上下関係に持ち込む日本式は、相手につけ込まれるだけである。そろそろ、その上下関係に持ち込む対応の仕方は改めるべきではないか。