真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

心を熟成させる

[おいしいはおいしいでいい]
◎おいしいものを食べると、本当に幸せを実感する。その後で、ふと、おいしいとはどういうことだろうかと疑問に思った。よけいなことを考えるな、とお叱りの声もありそうだ。おいしいはおいしいでいいじゃないかと。でもやはり...。
[溶けてしまいそうな熟成]
◎私は子どもの頃から、柿やトマト(今はある事件をきっかけに嫌いになったが)やリンゴが熟成して溶けてしまいそうな段階に達したものを食べるのが大好きだ。本当にうまくて至福の一時となる。熟成したリンゴは芯の周りがとてもうまい。柿は甘い汁がやたらおいしい。
[ばりばりした新鮮も]
◎でも、新鮮なものをばりばりやるのも好きだけれども。大阪人なら必ずここで、"どっちやねん!!"と相手の頭を軽く叩きながら突っ込みを入れる。大阪人は全員漫才師である。
[味がまろやか熟成]
◎話を戻す。キムチでも、一夜漬けのものと熟成したものでは全く味が違う。一夜漬けは辛さだけ(一味)で味に深みがない。それに引き替え、熟成は味がまろやか(甘さすら感じる)で舌刺す辛さがない。昆布が入っているのはなお良い。
[一つ一つが自己主張]
◎私はお好み焼きを焼くときには十枚くらい焼く。初日は家族全員で一枚ずつ食べる。その後、私だけが毎日一枚ずつ食べてゆく。そうすると、食べ終わるまでに一週間近くかかる。最初はそれぞれの素材(イカ、豚肉、キャベツなど)の味か判別できるほど、一つ一つが自己主張している。
[お好み焼きが熟成]
◎しかし、四日目あたりから、お好み焼きが熟成する。(下手をすると腐るのでご注意を)。食べるときに、表面を焼いてカリカリにするが、中はとろっとクリームのようにとろける。それがまことにおいしい。表面に塗るソースとマヨネーズ、その下のカリカリの表の皮、その中のジューシーな具材、さらにその下のカリカリの裏の皮。何層にも楽しめる。絶品である。
[多重の食感]
◎たこ焼きでも、シュークリームでも、外皮がかりっとして、中がジュウシーなのが食(触)感的にもおいしい。ステーキ(滅多に口にできないが)でも、表面だけをカリカリに焼いて中を汁のしたたるジューシーさに保つ(閉じ込める)のがおいしさのこつである。
[熟成は発酵]
◎このような熟成は、パン・酒・味噌・醤油・チーズなどでは発酵から生み出される。いまだに詳しい研究成果が出されていないが、主に微生物(細菌)によってもたらされる化学変化が熟成(発酵)の原因である、と最近の研究がそういう。
[熟成酒は身体に優しい]
◎私は酒を飲まない(飲めない)が、"新酒は、頭ばかり酔う。熟成酒は、からだ全体が潤うように気持ち良く酔う"といわれている。お酒の場合でも、熟成した酒は身体に対して優しいようである。
[酵素の働きによって熟成]
◎肉の場合でも、熟成すると肉自体が内に持つ酵素の働きによって、筋肉が柔かくなる、と同時にタンパク質が分解されて旨み成分のアミノ酸が増す。その時、香りも深く複雑になり、味わいもまろやかに変わる。
[味が調和]
◎熟成とは、抽象的には、さまさまな味が複雑に絡まり合い調和がはかられ、多層・多重的な味に生まれ変わる。どれかの味が飛び抜けて我を張ることなく、それぞれの味が調和しながら結合を重ね複雑さを増すことである。
[心が熟成する]
◎人間でも、これは食べ物ではないが、熟成(普通文字を逆にして成熟)した中高年には醸し出される円(丸)味(まろやかとは丸やかである)を感じさせる。まさか、体がそういう熟成をすること(いや女性はそうなるように思う、たぶんホルモンの関係で)はないだろうが、心が熟成する。
[若さも良い]
◎とはいっても、若さは若さでまたそれで良いことである。(どっちやねん!!)。若者に活気がある国には華やかさがある。どこかの国のように枯れかけつつある国もあるが。しかし他面、"青臭い"という言葉もある。余談だが、葉物や果物は熟成につれて色(たいてい緑から暖色系へ)が変わることが多い。日本人は青いお尻を持って生まれる、関係ないか。
[若さの特権]
◎一つの思想にかぶれた若者(青臭さ)を見ると、一途という面でうらやましさもあるけれども、他との衝突が多いという面で、扱うには厄介でもある。とはいえ、扱いやすい若者も扱いにくいが。それは若さの特権とでもいおうか。
[七転八倒で思考も熟成]
◎しかし、一途では、一つの思想では、現実世界の多様性に対処できない事柄にぶつかって崩れる体験が数多く待ち受ける。そのような経験(七転八倒・七転び八起き)を積むにつれて、思考も多様(熟成)になって行く。
[十人十色に応じた対応]
◎それによって、十人十色に応じた対応ができるようになる。それが丸くなることである、心の熟成である。それを良いとするか悪いとするかは別として。
[熟成知識に深み]
◎知識でも同じことがいえる。熟成した知識には深み(含蓄・多様性)がある。知識の"熟成"とは、個々の単独の知識・情報のままではなく、それらが互いに合成し結合し合って、今までにない新しい知識として生み出されることである。誰もが単純には思い浮かばな代物になることである。言葉や文に多くの意味合いを含むことである。
[おいしい果実]
◎それを創造と呼ぶ。創造までには、熟成するまでの長い時間と、さまざまな知識と体験を積む必要がある。そのことによって、おいしい果実(成果)を味わえる。