真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

花嫁の父症候群

[四人の子供]
◎私(58歳)には四人の子供がいる。少々結婚(31歳)が遅かったが、現在、長男は地方の大学に在学中(家を離れてもう6年)であり、長女・次女・三女(今年就職)ともに社会人になった。
[花嫁の父の心境]
◎まだ、子供たちの内、誰も結婚していないのであるが、最近、私は、"花嫁の父"の心境を、深く強く味わっている。子供たち全員にとって、家はただ食べて寝る場所になってしまっている。子供たちの心は、我が家からも私からも遠く離れてしまった。
[胸苦しい体験]
◎他人には、親の子離れができていないなどと突き放して見ていたが、いざ自分が、その体験をしてみると、それは、なんとつらくて苦しくて、吐き気が出そうなほど、胸苦しいものなんだと実感した。
[失恋の激しい悲しみ]
◎若い頃に体験した、失恋した当座の、あの胸を髪をかきむしりたいほどの、のたうち回りたいほどの、激しい苦しみを思い出した。悲しみで涙も声も出なかった。それほどに激しい悲しみだった。
[親不孝の天罰]
◎そして、今これは私に下された罰なんだと感じている。私は、自分の両親に対して、親が自分へのこのような気持ちを抱いたのだろうかと、なんと大馬鹿野郎の自分なんだと、後悔の気持ちで涙があふれそうである。
[親不孝を後悔]
◎自分はなんと親不孝で、親への心遣いがなんとない、息子であったのだろうと慚愧に堪えない。仏壇に向かって手をすり、頭をこすりつけてわびたい気持ちである。
[有り難い両親]
◎ 親になって初めて知る親の気持ちである。親もこのような悲しい気持ちを味わったのだろうか。それに全く気づかなかった愚かな息子であった。親不孝な息子であったにもかかわらず、幼い頃からずっと私に対して、心を砕いてくれた、本当に有り難い両親であった。そういう意味では実に幸せ者の息子である。
[ペットを本当の我が子として]
◎私の周りにいる初老の男性女性方が、ペットを本当に我が子のように、話しかけかわいがり、慈しむ気持ちが、今更ながらわかった、実感として心の底から納得できる。
[愛すべき家族たち]
◎彼らにとって、ペットは単なるペットではなく、子供を社会へと送り出して、そのぽっかりと空いた、心の空洞を埋めてくれる愛すべき家族たちなのだ。彼ら動物は、人間を慰める、天からの授かりものである。
[花嫁の父症候群]
◎私はこれらをひっくるめた空虚感を、"花嫁の父症候群"、と名付けたい。
[空の巣症候群]
◎これに類する症候群として、"空の巣症候群"がある。これは主に母親がかかる神経症である。それは、子育てからの開放による心理的な変化である。それは、花嫁の父が感じるのと同じ、子どもが成長し巣立ってしまって、巣(家)が空っぽになってしまったことへの寂しさである。"旅立った子供たちの親症候群"である。
[逃避的物質依存]
◎これらの症状から逃れるために、キッチンドリンカー(寂しさに台所で酒をあおる主婦)、アルコール依存症となる人も多い。愛する者をなくした悲しさは本当に耐え難いものである。
[寂しさに耐えきれずに]
◎私は失恋した当座は、一人でいる寂しさに耐えきれずに、夜中であろうと、友達の家に押しかけていったものである。なんという意志の弱さだろうと嘆かわしいが、一人でいるつらさは本当に耐え難かった。
[子供たちに感謝]
◎ 恋人がいる間や、できる前では一人をそんなにつらいとは全く感じなかったというのに。元々ないものは何とも感じないが、あったものがなくなるつらさは大きなものである。しかし、無情は世の常である。宴の後、祭りの後の虚脱感。とはいえ、一時の幸福を味わわせてくれた子供たちに感謝。