真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

般若心経の「色即是空、空即是色」

NHK内で、「100分 de 名著」という番組を放送している。私は時々つまみ食いをするように、試聴する。そこで、以前には、芭蕉の「奥の細道」を解説していた。
今は、般若心経を(再放送という形で)取り上げていて、私は、視聴している。
参考)名著19 『般若心経』:100分 de 名著
ということで、今日は、般若心経の中の言葉を取り上げたい。さっそくだが、般若心経の中に、「色即是空、空即是色」という言葉がある。
その意味とは、「およそ物質的現象というものは,すべて実体がないということである。およそ実体がないということは物質的現象なのである」from"色即是空空即是色 とは - コトバンク"
そこから導かれるのは、物質(色)は実体がなく、単なる現象にすぎないということになる。
注)「出来事を、それが存在するかどうか、本当かどうか、といった、その見える<<現れ>>の背後にあるものは問題にせずに、その観察された<<現れ>>として扱うとき、それを「現象」と呼ぶ」from"現象 - Wikipedia"
「人が感覚によってとらえることのできる一切の物事」を現象とよび、人間の感覚を通さなければ、現象とすら呼べない。
別の説明も覗いてみる。「「空」は固定的な実体のないこと。「色」はいろ、かたちあるもの。この世のすべての物質的存在」from"空即是色の意味 - 四字熟語辞典 - goo辞書"
私は、これらの説明ではいまいちよくわからないので、自分なりに解釈してみた。
「空」を、宇宙全体の物質的存在(特に素材としての状態)、それに現象や形を与える諸々の法則をも含む、宇宙全体。
「色」とは、個々の物質的存在(特に、素材を元に作り上げられた製品)。
もっと大雑把に言えば、「空」は"宇宙全体"、「色」は諸々の法則によって生み出された"部分"。
もっと大雑把に言えば、「空」はジグソーパズルの全体、「色」はバラバラにされた各ピースやその部分的な集まり。
注)例えば、言葉の素材(あ〜ん:文字、音:空)を元に、「と・り」「あ・さ」(色)などの言葉を作る。
注)空とは、車で言えば、アイドリング状態、脳(脳波)で言えば、アルファ波、細胞で言えば、生殖細胞、料理で言えば、食材。
次に移って、般若心経の中に、「不生不滅、不垢不浄、不増不減」、という言葉がある。
色側から見れば、生滅、垢浄、増減であるが、空の側から見れば、不生不滅、不垢不浄、不増不減である。
注)素材自身は、増えも減りもしない(不生不滅、不増不減)が、それを元に作られた、製品は、生滅、増減がある。
化学では、「化学反応の前と後で物質の総質量は変化しない」とする化学の法則(質量保存の法則)を、宇宙から発見している。
物理学では、「孤立系のエネルギーの総量は変化しない」という保存則(エネルギー保存の法則)を、宇宙から発見している。
このように、宇宙には、現象(色)を生成するさまざまな法則が存在する。それら二つの法則は、物質やエネルキーを空側から見た法則。
色側から見ればとは、例えば、人間の立場から見ればということである。空の側から見ればとは、神の立場から、宇宙全体の視点から見ればという意味である。
人間の肉体で言えば、個々の細胞を色とたとえ、一人の人間全体を空と例えると、細胞(色)の生死はあるが、それは一人の人間の生死を意味しない(即ち、空)。
つまり、部分として化学反応はあったが、全体として物質の総質量に変化はない。
部分として、電気が熱に変わっても、全体として、エネルギーの総量に変化はない。
また、部分最適全体最適という言葉がある。色側から見るのが、部分最適であり、空側から見るのが、(宇宙)全体最適である。
「色即是空、空即是色」は、別の表現を借りれば、「多即一、一即多」である。
色は、多の世界であり、空は一の世界である。
スポーツでは、試合形式として、トーナメント形式がある。最下位から上に登っていくに従って、数が半分になってゆき、最後の最高位には一つだけが残る。最高位が、神の位置であり、空の位置であり、一の世界である。
それより下が、すべて色の位置、多の世界である。
道元(禅師)は、自らの悟りの境地を、「身心脱落」という言葉で表した。人間の感覚を通さなければ、つまり、身心(色受想行識:五蘊)脱落(無色無受想行識)すれば、空の側から宇宙を見れる。
つまり、悟りとは、色の位置、多の世界から離れて、最高位、神の位置、空の位置、一の世界に立つことである。