真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

この校長の発言の何処が、何故駄目なのか

今日は、この話題を取り上げたい。「「子を産めない人は寄付を」 「2人以上」発言の校長:朝日新聞デジタル」「「女性は2人以上産むことが大切」中学校長、全校集会で:朝日新聞デジタル
これについては、テレビや新聞などで、大きく取り上げられているので、もうご存知だろう。
市の教育委員会では、処分を検討しているらしい。ということで、私は、この校長の発言の何処が、何故駄目なのかを考えてみた。
校長の発言内容に、「女性にとって最も大切なことは、子どもを2人以上産むこと。仕事でキャリアを積むこと以上に価値がある」という表現があることを考えると、これは、校長個人の思想、価値観を述べていると感じられる。
ということで、まず、校長の発言に関しては、校長に限らないのだが、憲法が、個人の思想、信条の自由を保障している。
では、何が駄目なのだろうか。私には、駄目な部分が、校長が、学校内で、こういう個人的価値観を、表明することだと思う。
校長が、例えば、講演会などで、この発言をするならば、構わないと思う。あるいは、本などを出版して、その中で述べるならば、いいのではないか。
勿論、恐らく批判はされるだろうが。私もこの価値観は強く批判したい。でも、駄目ではないと考える。
だけども、校長が学校の中では、このような発言はすべきではない、してはいけない。
なぜならば、学校内は、個人の思想、価値観を、公(授業、講話など)で述べるべきではない。
学校内では、知識を提供するが、あるいは、様々な思想、価値観の存在を知らせて、解説をするとしても、その中から、何を素晴らしいと思い、自分にふさわしいのはどれなのかなどの判断は、個人個人の自由意志、自由選択に任せなければならない。
講演会や出版物ならば、自由に選択できるから、教育者といえども、そんな機会では、個人的価値観を表明しても構わない。
講演会は、参加するかしないかは、自由に選べる。出版物の場合もしかりである。
だが、校長が、学校内で、勤務として、講話をすれば、児童、生徒、学生には聞く以外に選択の余地がない。
そういう状況の中で、校長の個人的価値観を述べるのは、職権乱用である、公私混同である。
このケースでは、価値観の良し悪しの問題も、勿論、あるが、それと同じく、否、それ以上に問題なのは、校長の職権乱用である、と、私には思える。
学校は、児童、生徒、学生の為に存在するものであり、彼らが主人公であり、彼らが社会で活躍するための、学びの場であり、育ちの場である。
教師が、自分の思想や価値観を吹き込む場では決してない。まして、時の権力の望む思想や価値観を植え付ける場でもない。