真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

愛情とはどんなものなのだろうか。

愛とか愛情とかという言葉は、定義がいらないくらい、余りにも当たり前の感情だといえるが、でも、当たり前すぎて、かえってゆっくりと考えてみない言葉でもある。
私は、愛とか愛情とかは、具体的にどんな場面で使うのか考えてみた。
しかし、まずは、辞典で調べてみる。「人や物を心から大切に思うあたたかい気持ち。いつくしみの心」引用from「コトバンク」
この「大切」とは、「もっとも必要であり、重んじられる、重要である」との思いで取り扱うことである。(改変引用)
残念ながら、私には、分かったようでわからない抽象的な表現なので、私が今までに愛情について書いたことの方をなぞってみる。
以前(2006/12/06)、私は、このブログで、「虐待と愛情と基本的信頼感」という記事を書いた。
そこから引用。「愛情の中で最大のものは、あるいは愛情そのものとは、"ゆるす"ことである」。「愛とは、相手を、寛容で温かく大きく包み込むことである」。
また、私は、このブログで、「母の愛」(2006/12/13)という記事も書いた。
そこから引用。「子どもにとって、親の愛情の大きな部分は自分への関心である」。「親の愛情に包まれるとは、親から温かい関心の目が注がれていることである。幼い赤ん坊ですら、親から顔をのぞき込まれると、にこにこ笑い、もう少し大きくなると、げらげら笑う。愛情薄い子どもは無表情になりがちだ。時には、死に至ることもある。さほどに、親の愛情は幼子にとって命をはぐくむ温かいミルクなのだ」。
「子どもにとって、母親は特別な存在である。子どもが、悲しいとき、つらいとき、苦しいとき、うれしいとき、楽しいとき、ともに悲しみ、ともに苦しみ、ともに喜んでくれるのが、最高の愛情である。母親は"子どもとともに"という存在である」。
「母なる大地」という言葉は、「子どもとともに」「命をはぐくむ温かいミルク」「温かい関心の目」「温かく大きく包み込む」などの形容がピッタリの表現である。
さらにまた、私は、このブログで、「愛と成長」(2007/12/14)という記事も書いた。
そこから引用。「愛する=ほめる=肯定する=受容する=現状維持する=満足する」。上で述べた、「ゆるす」=「相手を、寛容で温かく大きく包み込む」も含まれる。
ここまでは、主に、マイナスに沈んだ状況にある場合の愛情の示し方であるが、子どもたち、あるいは未成熟な状態にある人々に関しては、プラスへ向けさせるべく、どういう愛情を示すべきなのだろうか。
それについて、、私は、このブログで、「二つの宗教、依存対象の宗教と自立手段の宗教」(2009/07/01)という記事も書いた。
そこから引用。「自分ならではの素質・能力を発揮して自己を成長・発展させることへの欲求をかなえる方向へと向けさせる」。
つまり、相手を、プラスへ向けさせる愛情の示し方は、相手の素質・能力を最大限に発揮して、相手が成長・発展することを願って、関心を向けながら、下支えすることだと思う。
このことは、相手が、人間でなくても、動物であっても、はたまたものであっても同じなのではないか。
ただ、人間や動物ならば、自ら他に働きかけができるが、物の場合には、こちらがそれ(素質・能力)を引き出すように積極的に働きかけねばならないが。
例えば、ガラスのコップは、その素質・能力を最大限に発揮するような、指の腹で撫でれば、キュッキュッキュッと音がするような、磨き方をする。
料理であれば、それぞれの個々の素材の持味(素質・能力)を最大限に引き出す調理法を考える。
プロの職人ならば、自分が扱う素材を熟知して、その素材の持味を最大限に引き出す製品を生み出す。例えば、陶器などを製造する職人は、素材である土について熟知しているだろう。
サービスであれば、相手が、満足する、喜ぶ、ようなもてなし方をするのが、愛情のあるサービスだろう。もちろん、それ相応の対価を受けるべきだが。
これは、仕事への愛であり、素材への愛でもある。職人に必須の心意気である。
人間や動物の場合には、相手が、マイナス状況の場合と、プラス状況の場合とでは、接し方が違っているべきだ。しかし、共通するのは、自らが出しゃばらないことである。
能力のある人々が、陥りがちなのが、自らの能力を発揮するための手足として、相手を見てしまう、取り扱いがちだということだ。
相手を駒のように扱い、自らが伸びることだけしか考えないリーダーと、相手の持味(素質・能力)を考慮して、能力を引き上げるリーダーと。これを書いていて、ふと半沢直樹を思い出してしまった。
愛情とは、相手がマイナスの場合には、ゼロに戻し、そして、その後にはプラスへと差し向けさせて、それへの「下支え」をすることである。それには、相手へ常に関心を向けて、熟知する必要がある。
ということで、辞書的に言えば、愛情とは、相手を、自分よりも、大切だ(引き出すに値する素質・能力を持つ)として、重んじて、あたたかい気持ちで、接することである。それが相手を伸ばすリーダー的な態度である。