真 夢人 日記

心理学、哲学、脳科学、宗教に関心があり、それらについて自分なりにまとめたものをこのブクロで発信していきます。

屈辱感と、優越感と、いじめと

夜(2015/06/01)、ふとテレビを付けて、チャンネルを回していると、NHKが、TEDを放送していた。それを聞いて、心を動かされたので、今日はそれについて話したい。
まずは、ネットからの記事を紹介。"モニカ・ルインスキーさん、TEDで雄弁に語る「自分の過去を避けて通るのはやめにしました」"
そこから引用。
1)「1998年にビル・クリントン元大統領との不倫で有名人となったルインスキーさんは、約10年間の沈黙を破り、3月19 日にバンクーバーで開催されたTED2015で『不名誉の代償』というテーマで講演」
2)「このスキャンダルは、情報革命によって世の中に知れ渡ることになりました。従来のニュースが、初めてインターネットに取って代わられた」
3)「毎日オンライン上で人々が、 特にいじめに対処する能力がまだ身についていない若者たちがひどくいじめられ、屈辱を受け、そして明日を生きる気力すら失っている」
屈辱感とは、「相手に屈して大いに恥ずかしい思いをした、たいそう辱めを受けたという感情、屈辱を受けて大変恥ずかしいという感情」(引用from"屈辱感とは - 日本語表現辞典 Weblio辞書")。
優越感とは、「自分が他者より優れているとの認識、およびここから生じる自己肯定の感情である。多くの場合において自尊心の一端に位置する感情である。対義語は劣等感」(引用from優越感 - Wikipedia)
優越感を得る2つの方法。
1)「自らが上に上がった結果、相手よりも上に立ったことによって感じる勝利感」(1型優越感)。
2)「相手を落としめて、相対的に相手よりも上に立ったことによって感じる勝利感」(2型優越感)。
競争社会にあっては、屈辱感と優越感とは、致し方ない感情なのだろう。これらの感情は、極めて根深いものがある。(それについては最後に解説する)
2型優越感を得るのは、1型優越感を得るよりもたやすい場合が多い。例えば、通りを歩いていた紳士然とした人が、バナナの皮に足を取られ、ステンと転ぶ。これを見ていた人々は、あははっと、笑う。
自分よりも上だと感じられる紳士が、無様な姿を晒すことによって、周りで見ていた人々は、2型優越感を得る。それが笑いとなる。
注)私は、昔は、漫才師が自分たちを落としめて笑いの対象にすることに不快感を感じていたが、相手を笑わせるという芸の上手さを自覚できるということで、漫才師たちも、優越感を得られるのだとわかった。
だが、その滑ったのが、紳士ではなく、よちよち歩きの子供だったら、得られるのは2型優越感ではなく、母性父性がたたき起こされて、心配げに近寄ることになるかもしれない。
要は、その時々に、自分の中に沈み込んでいる、どんな感情/気持ちが、一番上に浮上するかである。
私は、モニカさんの話から、聖書の「ヨハネによる福音書 第八章1−11節」を思い出した。
概略は、「この女は姦淫を犯している現場で捕まえられました」。イエスは、その女に石を投げつけている人々に向かって、「あなたがたのうちで罪のない者が、まず彼女に石を投げなさい」、という。「それを聞くと、老人から始まって、一人また一人と去って行った」。
残念ながら、モニカさんのところには、イエスは来なかったようであるが。でも、彼女は、約10年間の閉じこもりから、見事に復活、再生を果たした。
あの聖書の話のように、その時点では、優越感を感じての行為であっても、心の底には、屈辱感がうごめいている。屈辱感を経験していない者など一人もいない。罪を経験していない者などいないように。
2型優越感を感じている人々の、その優越感も、一時の幻でしかない。自分たちも、過去には、屈辱感を感じているはずだ。いじめの連鎖、いじめの鎖、である。
ネットでの、このような、2型優越感を感じながら、投稿している、コメントをしているのを眺めると、寂しくなる。この人々も、心のなかにある屈辱感が、そうさせているのではないかと思えて。
アドラー心理学では、劣等感を扱う。「劣等感は成功へのモチベーションとして働く。うまく働けばバネどころでなく、もてる力の10倍、100倍の行動に駆り立てる原動力にもなる」(引用from"アドラー心理学の劣等感")。
劣等感は成功へのモチベーションとしても働くが、継続的な努力をせずに、安直に、優越感を得る方法が、落ちた相手を笑う、叩く、2型優越感である。
それが、ネット上で溢れかえっている。
なお、1)「他人が不幸になったことを、不謹慎であるとは理解しつつも喜んでしまうことを「他人の不幸は蜜の味」」という。
2)「他人の不幸を喜ぶ脳内のメカニズムが脳科学的に証明されたそうです。また、「妬み(ねたみ)」の感情と他人の不幸を喜ぶ感情の関連性についても解明されています」。
3)「妬みの対象の人物に不幸が起こると、心地よい感情や意志決定などにも関わると考えられている「線条体」と呼ばれる部位が活動することが明らかになったそうです。また、妬みに関連する「前部帯状回」の活動が高い人ほど、他人の不幸に対して線条体が強く反応する」
引用from"「他人の不幸は蜜の味」であることが脳科学的に証明される - GIGAZINE"